この記事では、日本での時間外労働や休日出勤に対する割増賃金の計算ルールと、管理監督者への適用除外について解説しています。海外親会社や日本子会社が適切に対応することは、労務コストの適正化と労使トラブル防止のために重要です。
時間外労働賃金規定
時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金計算方法
雇用主は、時間外労働、休日労働、深夜労働に対して、以下のように法律で定められた割増賃金を支払う必要があります。
時間外手当(1日8時間または週40時間を超える労働の場合)
時給×残業時間×125%
休日出勤手当(週1日の法定休日に出勤した場合)
時給×残業時間×135%
深夜労働手当(22:00~05:00に勤務した場合)
時給×残業時間×25%
時給の計算方法
時給は以下のように計算されます。複数の要素で構成されている場合は、その合計額が時給となります。
時間給従業員の場合
時給=基本給(時間給)
日給社員の場合
時給=基本給(日額)÷1日の所定労働時間数
月給制の場合
時給=基本給(月給)÷1年間の1ヶ月の平均所定労働時間数
Basis for Premium Wage Calculation
割増賃金計算からの除外項目
割増賃金の基礎となる賃金から除外できる賃金は以下のとおり限定列挙されています。
家族手当
通勤手当
別居手当
児童教育手当
住宅手当
臨時に支払われる賃金
1ヶ月を超える賃金
管理監督者は適用除外
管理監督者(監督または管理の地位にある者)は、労働基準法で定める労働時間・休憩・休日の規制の適用除外となります。 従って、管理監督者に対して時間外・休日労働手当を支払う必要はありません(ただし、深夜業規制がありますので、深夜労働手当は必要です)。 ただし、管理監督者とは、労働条件や人事管理上、経営者と一体的な立場にあることが必要であり、法的紛争では管理監督者の範囲は非常に限定的となることが多いです。裁判所が管理監督者としての地位を認めない場合、会社は多額の未払い残業代債務を負う可能性があります。従って、従業員を管理監督者に分類する際には、慎重な検討が不可欠です。
時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金の支払いは重要です。この記事では、割増賃金の計算方法や管理監督者の扱いについて解説しました。未払いが発生すると労務リスクが高まるため、海外企業が日本で成功するためには、現地の労務慣行を正しく理解することが必要です。
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